一般財団法人 保険代理店サービス品質管理機構

制定の趣旨及び経緯

この規格は,保険代理店経営の“ベストプラクティスの継続的創出”と,消費者が民間保険の加入を検討する際の“保険代理店評価の環境づくり”という二つの視点から,2016年に企画されました。

保険業法第1条が,“この法律は,保険業の公共性にかんがみ,保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保することによって,保険契約者等の保護を図り,もって国民生活の安定及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。”と規定していることからも明らかなように,保険業には公共性があり,保険業に従事する者は,国民の生活と経済に影響を与える重要な役割を担います。

2016年5月に改正保険業法が施行され,保険代理店独自の体制(態勢)整備義務が定められ,保険代理店には,高い自立性・自律性が求められることになりましたが,これはまさに,保険代理店の社会的責任の大きさを示すものです。

保険代理店は,消費者からの信認を受けた専門家として,消費者に最善の利益を提供する責任・使命を担い,意向把握,情報提供,及びそれらを適切に実現させることを含めた態勢の構築,さらに,顧客本位の業務運営の取組みに日々努力されていると思います。

しかし,保険代理店の規模・特性などは様々で,具体的にいかなる措置を講ずればよいのかが明確でないところもあり,悩み,苦しむ保険代理店も少なくありません。

私たちは,理想に向かい,より良いサービスを顧客に提供するため,必死に努力を続けて態勢整備を図っている保険代理店を,保険業界の多くの方々, 保険代理店を利用する消費者の方々に知ってもらい,そうした保険代理店が適正に評価されることが,顧客本位の取組みを社会に浸透させるためにも重要であると考えます。

保険代理店に課されている募集ルール及び 体制(態勢)整備義務は,消費者のためにあり,一定期間の保障・補償を提供するという保険の特性から,保険代理店と顧客との接点は,保険代理店による保険の提案から契約締結までに限らず,保険契約管理業務にまで及んでいます。

私たちは,保険加入時に加えて保険加入後のフォローアップも含めて一つのサービスと定義し,そのサービス品質についての継続した評価が重要であると考えます。

私たちは,今回の取組みを推進することで,保険代理店のベストプラクティスを継続的に創出し,消費者がその評価ができる環境を整備していきたいと考え,“ベストプラクティスの継続的創出”と消費者の“保険代理店評価の環境づくり”という視点から,“保険代理店サービス品質管理態勢の指針”を発行することにしました。

尚,JSA規格として発行することを選択したのは,保険業の性質からも,公共性の高い基準でなければならないという思いからです。このJSA規格は単なる良し・悪しの判断基準ではなく,保険代理店の経営及び実務はどこを目指していくのかといった方向を示すものでなければならないと考えており,保険代理店のベストプラクティスを創出しながら,常に様々な環境の変化に対応して,消費者のために継続的に改変をし続ける必要があると考えています。

さらに,このJSA規格がより公共性が高いものになり,世の中に必要とされる規格へと進化できれば,JIS,ISOなどの規格への格上げもあり得ると考えていています 。

消費者と保険代理店とにとって,有益な夢が生まれる規格であって欲しいと願っています 。